骨・珪藻のバイオメカニクスに関する研究
骨のバイオメカニクスに関する研究
骨の内部には細い柱のような構造が観察されます.これを骨梁とよびますが,この配向方向は先端に等分布荷重を受ける梁の内部の主応力方向に一致していることが多く観察されることから,骨は最小の材料で最大の強度を持つようにできているのではないかと言うことが古くから指摘されています(図1‐1).また,骨は常に力学環境に適応するように内部構造や外部形状を動的に変化させているとも考えられています.従って,機械工学的には骨は,自らに加わる力学刺激を感知して,その構造を常に最適に保っている動的最適構造物であると考えることができます.本研究では幼弱な骨を様々な力学環境下で培養することで人工的にその環境に適合した最適な構造を誘導することを目的としています.
図1 大腿骨内の骨梁図(左)と先端に等分布荷重を受けたときの最適構造を計算した結果(右)
珪藻の力学負荷下の被殻形成に関する研究
【研究背景と目的】
植物細胞である
珪藻は,細胞壁に数µmオーダーの穴(胞紋)が並ぶ複雑で精妙な模様を有する珪酸質の被殻を有しています.
そして珪藻はこの複雑な構造である被殻を太陽光・空気・水・ケイ素といった自然界である産物だけで作っています.
このような特徴を持つ珪藻の被殻形成メカニズムを明らかにして,人為的操作により所望の形態を作らせることが可能になれば,環境に優しい新たな微細加工技術を確立できるかもしれません.
そこで本研究では,珪藻の例として竹のように長く伸びるAulacoseiraを用い,これに力学負荷を加えた際の形態の変化や形態形成プロセスの詳細について調べています.