骨・珪藻のバイオメカニクスに関する研究
骨1)繰返圧縮刺激負荷による培養骨組織の力学特性・内部構造変化に関する研究
【実験装置】
当研究室では,主にヒヨコの脛骨を試料として,培養環境を保ちながらリニアアクチュエータで変位を骨試料に与え,ロードセルによって荷重を測定することで繰返圧縮刺激を負荷する装置(図1‐2)を独自に開発しました.これを用いて繰返圧縮刺激が培養骨組織の力学特性や内部構造の変化に与える影響を詳しく調査しています.
【結果と考察】
図1‐2は,新鮮な骨試料と,あらかじめ組織内部の細胞を死滅させた骨試料を用いて,繰返圧縮負荷したときの力学特性の変化を比較した結果です.新鮮な静置培養群(SC),細胞を死滅させた組織を静置培養した群(dSC),細胞を死滅させた組織に繰り返し圧縮を負荷した群(dCCC)は培養前後で変化は見られませんが,新鮮な組織に繰り返し圧縮を負荷した群(CCC)ではで有意差に硬くなることが判分かりました.繰返圧縮を加えて培養した骨で観察された硬化は組織が押し潰されることによる受動的な硬化ではなく,細胞の積極的な応答による硬化であることが明らかになりました.今後は,この硬化が何によって生じるのか,明らかにしていく予定です.
図1‐2 繰返圧縮を負荷して培養した前後での骨組織の力学特性の変化(市川,2006)
CON1,1日齢のヒヨコから摘出長後の骨; CON3,3日齢のヒヨコから摘出長後の骨
SC,静置培養した骨; dSC,あらかじめ細胞を死滅させて精緻培養した骨
CCC,繰返圧縮を負荷しながら培養した骨; dCCC,あらかじめ細胞を死滅させて繰返圧縮を負荷しながら培養した骨