名古屋大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻/機械・航空宇宙工学科 バイオメカニクス研究室へようこそ!

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血管のバイオメカニクスに関する研究

透明化法を用いたラット胸大動脈壁3次元微視的変形観察

研究背景と目的
 血管壁中膜は,力学特性が大きく異なる材質から構成されています.また,複雑な構造をしています.そのため,血管壁の変形は微視的に複雑であると考えられます.中でも,コラーゲンは血管壁の力学特性への影響が大きいと考えられます.本研究では,加圧に伴う血管壁の微視的変形の観察を目的として,加圧に伴う血管壁中のコラーゲン線維の蛇行の変化の解析を実施しました.
2光子イメージング観察
 Optiprepを用いて透明化を実施したラット胸大動脈に対し,内圧負荷試験を実施しました.また,内圧を加えた状態の血管壁を2光子顕微鏡を用いて観察しました.内圧を80 mmHg負荷した際の蛍光画像を図1に示します.図1に示すように,透明化によって血管外層から観察した場合にも血管内腔面の画像がクリアに得られるようになりました.

図1 ラット胸大動脈に対し内圧を80 mmHg負荷した際の(a)細胞核,(b)エラスチン,(c)コラーゲン,(d)それらの足し合わせ画像.z, θ 及び rは血管長軸方向,円周方向及び半径方向を示す.スケールバーは100μm.

コラーゲン線維蛇行度解析
 2光子イメージング観察により取得したラット胸大動脈壁中のコラーゲン蛍光画像に対し,蛍光画像の1列毎の輝度値の極大値の個数を蛇行度パラメータWIとしてコラーゲンの変形を評価する手法を提案しました.(図2)

図2 蛇行度解析手法

 コラーゲン蛇行度解析の結果を図3に示します.エラスチン層,平滑筋層ともに蛇行度のばらつきが低圧では大きく,生理圧に近づくにつれて小さくなっていく傾向が得られました.これは,血管を厚肉円筒管であるとした場合,加圧に伴って内膜側がよく伸びることと付合する結果でした.また,内膜側に存在する層ほど,加圧による蛇行度の減少率が大きい傾向が見られました.また,今回の結果からは,エラスチン層と平滑筋層に大きな違いは見られませんでした.
 以上より,血管壁内の各層のコラーゲン線維の蛇行度を解析することができたといえます.

図3 ラット胸大動脈壁中のコラーゲン蛇行度パラメータの変化 (a) エラスチン層 (b) 平滑筋層